7月4日高エネルギー加速器研究機構が東京大学宇宙線研究所、自然科学研究機構・国立天文台とともに神岡に建設を進める大型低温重力望遠鏡、KAGRAを格納する地下トンネルの掘削が完了し、関係者を集めた完成式典が行われました。アインシュタインの一般相対性理論によりその存在が予言されながらも未だ観測されていない重力波を捉えることができるのではと期待されています。

その式典から2日後…。

ご縁がありまして、神岡で稼働中のスーパーカミオカンデを見学するチャンスを得ました。

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(東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設パンフレットより)

スーパーカミオカンデ(以下SK)はご存じ日本が世界に誇るニュートリノ(&陽子崩壊)観測実験施設であります。素粒子「ニュートリノ」はいまこの瞬間にも宇宙から大量に飛来しているわけですが、他の物体とほとんど相互作用(反応)しないため、私たちの体はおろか地球も通過していきます。
ただし、ごくまれに水分子の電子と相互作用すると、チェレンコフ光と呼ばれる青白い光が放出されます。

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この光を観測するべく、ノイズを避けて神岡鉱山の地下深くに、大量(50000トン)の超純水を溜める高さ40メートルのタンクと、それを取り巻くように特大50cmサイズの光センサ(光電子増倍管、以下PMT)11129本を配置した装置、それがスーパーカミオカンデなのです。

神岡鉱山のトンネルの入り口に立つと、坑内からの冷風が噴出するように吹いていました。

坑内は年間を通して約13℃である、とのことでした。地下には専用の車両で向かいます。10分ほどで駐車場に到着。駐車場からはいくつかの方向にトンネルが掘られていました。写真のトンネルの奥にKAGRA用のトンネルがあるそうです。

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複雑な地下の様子。SKがスーパーカミオカンデ、CLIOがお試しKAGRAのトンネルです。ここの岩盤は非常に強固で、掘って1週間つぶれなければ、100年持つと言われているそうです。

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いよいよやってきました。SKの実験区域です。大きな扉…の脇の、小さな扉から入ります。

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SKへの通路には、見学者用にSKで使われている装置が展示されています。これが、浜松フォトニクス製の50cmのPMT。脇に置いてある普通サイズのものと比べると、その大きさが分かります。ひとつひとつ手作りで作られているそうで、このガラスが吹ける職人は、日本に2人しかいないとか。

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これが、壁全体に並んでいるんです。すごい。。

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(東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設パンフレットより)

SKの運用には大量の超純水が必要…ということで、その製造と供給の図。水が豊富であったことも、神岡に装置が作られた決め手だったそうです。

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いよいよSKのタンクの上にあたる空間にやってきました。写真はドーム状になっている天井部分です。防水シートが貼られています。

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11000個あまりのPMTから伸びる信号用+電源用ケーブル(の、1/4分)すごい量です。

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なお、タイムラグをなくすためにSKの底の部分にあるPMTのケーブルも、天井部分にあるPMTのケーブルも同じ長さになるように配線されているそうです。(つまり、最短5mくらいで済むはずのところ、すべてのPMTのケーブルを一番長いもの(70m位)に長さを揃え、余った分のケーブルが丁寧に束ねて棚に収納されています。

 

PMTからのデータが集まってくる部分の配線(90°回っています)。これらを1本1本はんだ付けしたとのことで、、いままでタンクとPMTを以てカミオカンデと呼んでいたかと思いきや、細かい部分に相当な苦労があったことを知りました。

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ケーブルの束ね方がきれいです。そうした部分にもこだわるようにと、学部生時代から厳しい指導が入るそうです。

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カミオカンデのログノート。英語で、誰が見ても分かるように丁寧に記載されるとのこと。

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SKが稼働した頃(ということは1996年?)からのログノートが、ずらりと保管されていました。

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ラボ中央のパネルには、SKのPMTが反応する様子が映し出されていました。

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反応するPMTがリング状に映っていますね。反応したPMTの場所によって、粒子の飛来方向が分かるのだそうです。

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貴重な実験データではないの?撮影してもいいの?とちょっと遠慮気味に撮影。
しかし、考えてみれば世界に唯一の装置…ということで、撮影場所は明らか。真似もできない、か。。

後ろ髪引かれる思いで、SKを後にしました。

外へと続くトンネル。かすかに出口が見えます。

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なお、超純水の製造を行っている部分も見せていただきました。その様はさながら地下工場であり…

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こうした施設が山の中地下1000mにある…
一言で言うと、「圧巻」です。人間の「知りたい」という好奇心が、これほどまでのエネルギーとなり得るのかと。

この規模、このロマン。
やはり、東京大学は違うなと、思わずにはいられませんでした。

今後はニュートリノ振動の観測によるその質量に関する研究や、そもそもの目的である陽子崩壊の観測に向けて、SKはまだまだ活躍を続けるでしょう。
また、後継のハイパーカミオカンデの計画もあるようで…
日本が世界をリードするニュートリノの研究、そして神岡から目が離せません。

さぁ、入善高校の諸君、夢にときめけ!明日にきらめけ!!