(関東方面で)雪の降り積もる2月17日。

この日、本校2年生理系と自然科学コースの生物選択者24名を対象に、富山県立山カルデラ砂防博物館からお招きした学芸員の後藤優介さんに「私の出会ったクマたち」と題し講座を開いていただきました。

 

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後藤さんには、以前から1年生の立山実習で植物・動物班のご指導をいただくなど

一部の皆さんはお話を伺ったことがあったのですが

 

専門である、ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)についてのお話を是非聴かせていただきたく、お願いいたしました。

 

「クマって怖いと思う人いますか?」から始まったお話。

人はわからないもの・知らないものを怖いと思います。

ツキノワグマは私たちの身近に生息しながらも、多くの人はその生態をよく知りません。

よく知らない大きなクマが2010年や2006年の大量出没の時に引き起こす人身被害を聞いてしまうために

クマに対して「怖い」という印象が先行してしまうのです。

 

確かに人を襲う可能性もある怖い一面を持つ動物である一方で、まずは相手のことをよく知ることで怖がるだけではなくて正しく付き合うための一歩になるのでは、とお話して下さいました。

 

 

そういえば、以前に生徒の一人から「クマって肉食じゃないん??」と聞かれて驚いたことがありました。

私たちのすぐ側で生息するたくさんの生き物について、意外と私たちは知らないものなのですね。

 

後藤さんからはクマの生態についてユーモアを交えながらお話して下さいました。

「クマを調べるためにはまず捕まえなければならないのですが、どうやって捕まえるか知っていますか?

実は、大学のときに合気道を少しやっていたのですがこれが役に立って・・・・」

・・・・・・それは無茶な話ですよね。クマを捕獲するのは

 

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(後藤さんからいただきました。)

「バレルトラップ」と呼ばれるドラム缶でできた捕獲トラップです。

 

話の途中で様々なクイズを出していただきながら進行していきました。

そのクイズをちょっとご紹介しますと・・・

Q.クマはなんと鳴くでしょう?    A.「クマ—」と鳴く

Q.クマは夏に何を食べるでしょう?    A.「アリ」

Q.産まれたときのクマの大きさは?  A.「手のひらサイズ」

 

などなど。

ちなみに、、、このクイズの答えは冗談ばかりではなくて、正解もあるんですよ。

どれが正解かは、自分で調べてみましょう。自分で調べるって大切☆

 

 

たくさんの写真や実物それから、赤外線カメラやクマに直接取り付けたビデオカメラの映像などを使ってお話をして下さいました。

クマの直接映像についてはこちらをご参照下さい。→http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp364enc.html

 

そして見せて下さった実物は、こちら

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ウワミズザクラを食べたクマの糞。

人間のはくさいけれど

ツキノワグマはもともと肉食獣から分岐した生き物だから、腸が短くて食べたものが未消化のまま出てくるから食べたものの匂いがするんだよ。

と教えていただきました。

慣れない2年生にとっては衝撃の1品だったようですが

本当にくさくないんですよ!ワインのような芳香とききましたが、本当に果物を発酵させたようなよい香り!

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(感性は人それぞれのよう・・・)

 

そしてクマの頭骨

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手のひらよりも少し大きいぐらい。

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回していると「これ、本物?」という声が聞こえてきました。もちろん本物です。

3歳の若い個体の頭骨だとか。

意外と小さいでしょ?

クマの体重はオスで約80kg メスで約60kg

体長は120-170cm ほど。私たちとさほど差がないのです。

この他にも、クマの赤ちゃんの模型やこの頭骨の毛皮など・・・

 

講演を通して、

上でも述べましたが、私たちは、案外と身近なアレコレを知らぬまま生活していることに改めて気付いたのでないでしょうか。

自然の豊かな富山県。私たちは山のすぐそばで生活しているわけですが、そこにどれだけの生き物が生息しているか知っていますか?

そこで何を食べ、どこで眠り、いつ子どもを産んで・・・

生き物だけではありません。このパソコンがどうやって動いているのか、そのケータイメールがどうやって送られているのか

本当に放射線って危ないのか(詳しくは物理の特別講座参照)

実はよく知らないですよね。

知らずに、おびえているのです。

知らないからこそおびえているのかな?

大事なのは疑問を持つこと。自ら調べ、学ぶこと。そして自分の意思を持つこと。

長くなりましたが、改めて後藤さんから教えていただいたように思います。

 

 

 

後藤さんは、お話の中で初めて出会ったツキノワグマのことを「美しい」と表現しておられました。

それをきいて、コンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」の中の一説を思い出しました。

 

『私は九歳のとき、こんな道具で私の最初のえものであるミジンコをつかまえた。そしてそのとき、淡水の池のおどろくべき世界を見出したのであった。それ以来、この世界の魅力は私をひきつけて放さない。水網につづいてルーペ(虫めがね)がほしくなる。そのつぎは小さな顕微鏡だ。こうして私の運命は、もはや変えようもなく定まってしまったのであった。なぜなら、ドイツの詩人プラーテンもいうとおり、この目で美をみたものは死の手にゆだねられることはないけれども、自然の美しさを一度でもみつめたことのあるものは、もはやこの自然から逃れることはできないからである。そのような人間は詩人か自然科学者のいずれかになるほかはない。もし彼がほんとうに目をもっていたならば、彼はとうぜん自然科学者になるだろう。』(2年生の授業・テストでもでたよ!!図書館にあるよ!!)

 

さて、後藤さんからの最後のメッセージは

「やっておけばよかった英語そして数学、地理、歴史」

お仕事がら、様々な国の研究者とお会いすることがあるそうです。

そのときに憧れの研究者とお話しする機会があっても、英語が得意ではないから深い話をすることができない!

と悔しそうに言っておられました。

好きなことをやりたいと思ったら、その知識だけではだめなんですよ!

学問はすべてつながっています。

理系だから国語・英語は関係ないなんて言っていると、クマに笑われますよ!